人気ドラマ「仁」のロケ地にもなった酒蔵
毎年3月第一週末に、日本全国の蔵見学に行きます。今回は北関東の近場を2蔵回りました。
作っている時にお邪魔するのは毎度申し訳ないと思いつつ、今回は両蔵とも作りを見せていただくことができました。
初日は、イベントなどではよくお会いしていた「若駒酒造」さんへ。
最寄り駅は、なんだかロマンチックな駅名の「思川」
駅付近には、飲食店もコンビニもなく…
日本酒の蔵ってこういうところが多いですが、モノトーンが似合う風情を感じるTHE田舎町の駅。
歩行者なんていないだろうという勢いで、歩く人のことは無視されたような車道の一本道を歩くこと20数分。
若駒酒造さんに着きました。
なんか…屋根落ちてる…
日本酒の蔵は古いところが多いけど、大丈夫なのか…不安になってしまったのが第一印象でした。
とてもいいお天気で、煙突が映えます。
広島で風の森を醸す油長酒造で修行した、次男の幸裕さんが蔵をついでいます。
とにかく明るくポジティブでお話が上手な幸裕さん。
外から見た屋根が落ちていた部分は、内側はブルーシートが張ってありました。
鬼怒川の氾濫で大きな被害を受けたそうで、その修繕がまだ終わっていないとのこと。蔵は文化財として登録されているそうですが、特に国や自治体からの補助があるわけでもなく…大変ご苦労されている様子でした。
蔵からは、紡ぎ出された酒作りの歴史を感じますが、誤解を恐れずにいえば、「古さ」でもあります。
それでも幸裕さんの説明から、ひしひしと感じるのは「蔵の設備は古いけど、狙った酒は作れてます!」という自信。
屋根の梁にも歴史の積み重ねを感じます。
こちらの蔵はヤブタはなく、すべて舟で絞っています。
この日も絞りに使うたくさんの袋の洗濯が行われていました。袋の洗濯は大変重要で、絞った酒に袋の匂いがついてしまうので、入念に何度も洗う必要があります。
舟ゆえの良さとして、無加圧のお酒がよい評価を得ているようです。
歴史あるくらだからこそのロケ地
そしてこちらの蔵は、大沢たかお主演の人気ドラマ「仁 -JIN-」の撮影にも使われたロケ地でもあります。
タイムリーにも熱っぽくみていましたが、この年末に、アマゾンプライムで全話見直したばかりだったので、感慨もひとしお。
仁友堂の看板の下に、並ぶしぼりたてのお酒。
ドラマ撮影の裏話も、話術に長けた幸裕さんのトークが冴えまくりで、見学者一同笑顔が絶えませんでした。
ということで、お楽しみの試飲タイム!
風の森で修行をしたとのことで、全体的に同じ流れを感じます。
フレッシュで、苦味や渋みも感じつつ、〆はきっちりした酸が支配します。瓶内発酵するので、詰めたてより増すシュワッとした炭酸感。
最後にみんなで記念撮影。
とにかく明るい幸裕さんの情熱と、底抜けのポジティブな感性が作る酒質に魅了されました。
蔵見学に行くと、必ずその蔵を応援したくなりますが、今回も同じように、若駒を応援したくなりました。
お庭には、絞りに使うたくさんの袋が干してあります。
日本酒は、酒にかける思いと、職人たちの時間を惜しまず、(飲み手が想像できない)手間の積み重ねでできていると、改めて実感しました。